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鳥を見かけると、思わずカメラを向けたくなる。でも、実際に撮ってみると「あれ?こんなはずじゃ…」となること、よくありますよね。小さくてすばしっこい鳥にピントが合わない、遠すぎてただの点にしか写らない、なんて経験、一度や二度じゃないはず。でも、落ち込まないでください。「鳥の写真撮影の楽しみ方」は、ちょっとした知識と工夫で、誰でもグッと奥深くなる趣味なんです。
鳥の写真撮影を始める前に:カメラとレンズ、何を選ぶ?
まずは手持ちのカメラで試してみる?
「鳥の写真撮影」と聞くと、ものすごく大きくて高価な望遠レンズをつけた、プロっぽいカメラマンを想像するかもしれません。もちろん、素晴らしい機材は写真を撮る上で有利に働くことが多いのは事実です。
でも、だからといって最初から何十万円もするセットを揃える必要があるかというと、それはちょっと違います。まずはあなたが今持っているカメラで、近所の公園などで鳥を撮ってみるのが一番手っ取り早い方法です。スマホでもいいし、コンパクトデジタルカメラでも構いません。
それで「もっと大きく撮りたい」「もっと綺麗に写したい」という欲が出てきてから、次のステップを考えればいいんです。最初から完璧を目指す必要はありません。まずは始めてみること、それが何より大切です。
カメラ本体:センサーサイズが鍵を握る?
本格的に始めるなら、一眼レフかミラーレスカメラを検討することになります。ここでよく話題になるのが「センサーサイズ」です。フルサイズとかAPS-Cとか、聞いたことありますか?
簡単に言うと、APS-Cセンサーのカメラは、同じ焦点距離のレンズを使っても、フルサイズに比べて鳥が大きく写る特性があります。これは望遠効果(テレコンバーターを使ったような効果)が得られるため、遠くにいる鳥を大きく撮りたい鳥撮りさんには特に人気があります。
フルサイズは画質に優れる傾向がありますが、鳥を大きく撮るという点ではAPS-Cに一歩譲ることも。どちらが良いかは目的と予算によりますが、鳥撮りにおいてはAPS-Cは非常に合理的な選択肢と言えるでしょう。
- APS-C: 同じレンズでも鳥が大きく写りやすい(望遠効果)
- フルサイズ: 一般的に画質が良い傾向、広角も活かせる
- 初心者にはAPS-Cの方が鳥を大きく撮りやすいメリットが大きい
レンズ選び:焦点距離がすべて?
鳥を撮る上で、カメラ本体以上に重要と言われるのがレンズです。特に「焦点距離」が長い、いわゆる望遠レンズが必要になります。なぜなら、鳥は警戒心が強く、そう簡単には近くに寄らせてくれないからです。
具体的にどれくらいの焦点距離が必要か?と言われると難しいですが、最低でも300mm、できれば400mm以上あると、遠くの鳥でもそこそこ大きく写せるようになります。もちろん、600mmや800mmといった超望遠レンズがあれば鬼に金棒ですが、価格もサイズも跳ね上がります。
予算が限られている場合は、ズームレンズで焦点距離を稼ぐか、あるいは中古市場を探してみるのも手です。最近は比較的安価でも性能の良い望遠レンズが出てきていますし、型落ちモデルでも十分に使えるものはたくさんあります。足で稼ぐ(鳥に近づく努力をする)ことも重要ですが、レンズの力も借りないと難しい場面が多いのが鳥撮りの現実です。
鳥を見つけるコツ:どこへ行けば会える?
まずは身近な場所から探してみる
さて、カメラとレンズの準備ができた(あるいは手持ちの機材を手に取った)ら、次は鳥を探しに出かけましょう。超レアな鳥を求めて人里離れた山奥へ…なんて考える必要は全くありません。鳥は意外と私たちのすぐそばにいます。
一番手軽なのは、近所の公園や庭、河原や池のほとりです。これらの場所は木々や水辺があり、鳥にとって餌や水、隠れ家となる場所が多いからです。都市部の公園でも、種類は限られるかもしれませんが、ハトやスズメだけでなく、ムクドリやヒヨドリ、カワセミなんかが見られることもあります。まずは「どんな鳥がいるんだろう?」くらいの軽い気持ちで歩いてみるのがおすすめです。
鳥が見つけやすい時間帯とサイン
鳥を探すには、時間帯も結構重要です。一般的に、朝早い時間か、夕方の薄暗くなる前が活発に活動していることが多いです。特に朝は、鳥たちが餌を探したり、さえずったりしているので、姿を見つけやすいだけでなく、鳴き声を手がかりにする「鳥見」の基本も同時に学べます。
鳥を見つけるコツは、ただ目で探すだけでなく、耳を澄ますことです。枝葉のガサガサという音や、特徴的な鳴き声が聞こえたら、そちらにそっと近づいてみましょう。あとは、木の実や花の周り、水場など、鳥がよく集まる場所を知っておくことも有効です。ベテランの鳥撮りさんは、鳥の行動パターンや季節ごとの移動まで頭に入れているものですが、最初は「あの木によく止まってるな」くらいの観察から始めれば十分です。
- 朝夕が狙い目
- 鳴き声や物音に注意深く耳を澄ます
- 木の実や水場など、鳥が集まりそうな場所をチェック
- 同じ場所でも季節や時間で出会える鳥が変わる
鳥の写真撮影の楽しみ方:ブレない写真の撮り方と構図
ブレとの戦い:シャッタースピードと構え方
さて、鳥を見つけて、カメラを構えた!でも、いざシャッターを切ると、鳥がブレブレ…なんてこと、よくありますよね。鳥は本当に動きが素早い。特に飛び立つ瞬間なんて、あっという間です。
このブレを抑える最大のカギは「シャッタースピード」です。簡単に言うと、シャッターが開いている時間をどれだけ短くするか、ということです。鳥が速く動くなら、その動きを止めるためにシャッタースピードを速くする必要があります。具体的には、止まっている鳥でも1/500秒くらいは欲しいところ。飛んでいる鳥なら1/1000秒、いやそれ以上が理想です。絞り(F値)やISO感度を調整して、必要なシャッタースピードを確保しましょう。
もちろん、手ブレ自体も大敵です。望遠レンズはちょっとした揺れが大きく影響します。脇をしっかり締める、カメラを安定させる、可能なら三脚や一脚を使うなど、物理的にカメラを安定させる工夫も鳥の写真撮影の楽しみ方を深める上で重要です。
写真に命を吹き込む:構図の基本
ブレずに鳥を捉えられたら、次は「どう見せるか」です。ただ真ん中に鳥が写っているだけだと、ちょっと味気ない写真になりがちですよね。ここで重要になるのが「構図」です。
鳥を画面のどこに配置するか、背景をどう写すか、これだけで写真の印象はガラッと変わります。たとえば、鳥を真ん中から少し外した「三分割法」の交点に配置すると、安定感と奥行きが出ます。鳥の目線に少し空間(「開け」と言ったりします)を作ってあげると、鳥がこれからどちらへ向かうのか、ストーリーを感じさせる写真になります。
背景も意識しましょう。ごちゃごちゃした背景だと鳥が埋もれてしまいます。できるだけシンプルで、鳥を引き立てるような背景を選ぶのがコツ。絞りを開けて背景をボカす(これを「玉ボケ」と呼んだりもします)のも、鳥を際立たせる常套手段です。
- 鳥を真ん中から少しずらしてみる(三分割法)
- 鳥の目線に空間を空ける
- 背景はシンプルに、鳥を引き立てる
- 背景をボカして鳥を際立たせる
鳥の写真撮影の楽しみ方:撮った後も楽しむ方法
宝探しタイム:写真をセレクト&編集する
一日頑張って鳥を追いかけ、何百枚もシャッターを切ったとしましょう。家に戻ってきて、メモリーカードをパソコンに入れる瞬間って、ちょっとした宝探しみたいでワクワクしますよね。でも、現実にはブレブレの写真や、鳥が米粒みたいにしか写っていない写真の山だったりします。
ここからが次の楽しみ。まずは「これぞ!」という一枚、あるいは「惜しいけど修正すれば…」という写真を選び出す作業です。膨大な写真の中から良いものを見つけるのは、結構集中力が要ります。そして選んだ写真は、少し編集してあげるだけで見違えるように良くなります。明るさやコントラストの調整、トリミングで鳥を大きく見せる、色味を整えるなど、基本的な編集だけでも写真の魅力は何倍にもなります。最近のソフトは優秀なので、初心者でも直感的に操作できますよ。ただし、やりすぎは禁物。鳥の色や形が不自然にならないように気をつけましょう。現実離れした写真は、もはや記録写真ではなく創作写真です。
- まずは大量の写真から「当たり」を探す
- ブレやピンボケは容赦なく削除
- 明るさ、コントラスト、色味を調整
- トリミングで構図を整える
- 編集は控えめに、自然な仕上がりを目指す
見てもらう、共有する:楽しみを広げる
せっかく撮った力作、自分だけで見てるだけじゃもったいない。誰かに見てもらうことで、また違った楽しみが生まれます。家族や友人に見せるのもいいですし、最近はSNSで気軽に公開できます。
鳥の写真に特化したコミュニティやウェブサイトもたくさんあります。例えば、chirpingjapan.comのようなサイトで他の鳥好きさんと写真を共有したり、コメントをもらったりするのは、モチベーション維持にも繋がります。他の人の写真を見ることで、新しい撮り方や、まだ見ぬ鳥について知ることもできます。
さらに、お気に入りの写真をプリントして飾ったり、フォトブックにまとめたりするのも素敵な楽しみ方です。デジタルデータもいいですが、物理的な形になると愛着もひとしお。鳥の写真撮影の楽しみ方は、シャッターを切る瞬間だけでなく、その後にもたくさん待っているんです。
鳥の写真撮影、終わりなき探求
鳥の写真撮影の楽しみ方、いかがでしたか?高価なカメラがなくても、近所の公園でも、まずはシャッターを切ってみることが第一歩です。ブレてしまった写真も、豆粒のような鳥も、後で見返せばきっとその時の情景が蘇るはず。完璧な一枚を目指すのも良いですが、それ以上に大切なのは、鳥との出会いや自然の中に身を置く時間そのものを楽しむことかもしれません。この趣味に終わりはありません。新しいレンズを試したり、遠征してみたり、あるいは一枚の写真から鳥の種類を深く調べてみたり。あなたの「鳥の写真撮影の楽しみ方」は、きっとこれからもっともっと広がっていくでしょう。